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南極

南極大陸はガイア連邦共和国政府の直轄区であり、数ある連邦直轄区の中でも、連邦首都ネオポリスのあるオーストラリア大陸と並ぶ最重要地域に位置づけられている。

この地にある最も重要な施設は、ΩーNETの中枢である南極情報通信センター(SPIC)である。SPICには四つ子システム構成のコンピュータであるQUEEN SYSTEMが置かれ、ΩーNETの全通信を司っている。

上空には特級第一種特殊通信衛星ミネルヴァが展開しており、QUEEN SYSTEMと常時通信を行っている。また、SPICに隣接して南極航空管制センターが設置されており、世界の航空機管制を一手に担っている(とはいえ、近年は政府専用機と軍用機くらいしか運用されていない)。

南極はその地理的な重要性から、第五次世界大戦勃発とその後のケープ自治区没落の遠因となった。第五次大戦は、ケープ自治区が独自の軍事力をもって南極大陸の占拠を目論み、それに反発する勢力と賛同する勢力に世界が二分され、勃発した戦争である。この戦争でケープは敗戦の末、当時の同自治区政府は解体され、他自治区の共同統治下に入ることとなった──ケープ自治区政府が解体されたのは、後述の連邦南極法に関する重大な違反があったと結論づけられたためである。なお、当初ケープ側に立って参戦したコルン自治区は、大戦中に政府が転覆して親連邦派による政権が樹立されたため、それ以降はケープと敵対する立場となった。

第五次大戦を教訓として、ガイア連邦政府は、近年では共和国海軍の一個艦隊を常に南極海の警備任務に充てている。

旧南極条約の理念を引き継いだ「南極大陸の利用に関する連邦法(通称:連邦南極法)」により、南極大陸においては、地下資源の採掘、自治区政府及び関係機関による利用または占有、私企業及び私的機関の設置、私人の居住等は一切認められていない。また、SPICと南極航空管制センターが無人施設であることから、南極大陸には基本的に人間が居住していない。このため南極は、この時代に至るまで、ペンギンの楽園となっている。