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ケープ

ガイア連邦共和国の自治区のひとつ。アフリカ大陸の南半分を版図とし、大陸南端のキャピタル・アフリカーナに自治区首都を置く。558年以降、人口はゼロであり、暫定的に閉鎖措置が取られているが、URC(ケープ自治区復興同盟)のロビー活動が奏功して、今のところ正式に閉鎖される予定はない。

もともとアフリカ大陸はひとつの自治区で、名称もアフリカ自治区といったが、640年現在では北半分がグラデーションズ教会領、南半分がケープとなっている。グラデーションズ教会領は、314年にアフリカ自治区より領土を割譲して設置された準自治区である。この8年後の322年、アフリカ自治区はケープ自治区へと名称を変更している。この歴史的経緯によりグラデーションズ教会領はケープに所属する準自治区であったが、ケープが暫定閉鎖となった後はベリスに移管された(詳しくはグラデーションズ教会領の項を参照)。なお、グラデーションズ教会領には640年現在も多数の人が暮らしている。

ケープは第五次世界大戦(369〜380年)と第六次世界大戦(490〜499年)という二度の大戦の原因となった場所である。一度目は当時のケープ自治区政府が独自の軍事力で南極へ侵攻したことによって誘発されたもので、この戦争でケープは敗北し、自治権剥奪の憂き目に遭った。このときに連邦直轄区とならず他自治区による共同統治下に置かれたのが災いし、ベリスとエウロによるケープの領有権争いに端を発して起きたのが第六次世界大戦である。第六次大戦ではケープ本土が主戦場となり、同地は焦土と化した。

だが、暫定閉鎖の原因は二度にわたる大戦ではなく、558年にLENSというウイルス感染症が流行したことである。

第六次大戦終戦後、共同統治失敗の反省から連邦政府の直轄下に置かれ、再び自治区として復帰するための準備を進めていたケープを突然襲ったこの流行病は、瞬く間にケープ全土に蔓延し、猛威を振るった。手の打ちようの無かった連邦政府は同地区のすべての住民に対して退去命令を出した。大量に出現したケープ難民は隣接するグラデーションズ教会領に逃れ、多くはここに留まったが、一部はそこからさらにガネイシアやシノニアなどへと移住していった。640年現在もこのウイルスはケープに存在していると見られており、暫定閉鎖措置が解かれる見込みはない。また、防疫の観点から、現地調査団の派遣はURCの幾度にも渡る陳情にも関わらず実現されていない。

なお、559年の連邦評議会法改正の際、将来の暫定閉鎖解除を見越して、ケープは自治区の地位に復帰している。これはLENSの流行が数年以内に収束すると予測されていたためである。万年空席ながらもケープが連邦評議会に議席を維持しているのは、この改正連邦評議会法が640年現在も有効だからである──当然何度も根拠条文の修正が議論の対象となったが、冒頭に書いたように、URCの必死のロビー活動によってケープの地位は維持され続けている。

640年の時点で暫定閉鎖から100年近くが経過しており、建築物の多くは風化するなどして版図の大部分がジャングルやサバンナと化していると思われるが、かつて派遣した調査団が消息を絶って以来現地調査が許可されておらず、詳細な状況は不明である。JUPITER-SYSTEMのセンサー群は生きていると言われるが、噂の域を出ない。