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トッカル

ガイア連邦共和国の自治区のひとつ。ユーラシア大陸北部の大半、旧ロシア及び東欧地域を版図とする。第二次ユーラシア内戦を経て、246年にユーラシア自治区より分離した。

石油化学工業が盛んで、世界で使われるプラスチック製品のほとんどはトッカルで生産される。トッカルのプラスチック製品はシノニアで製造される精密機器の筐体素材としても重要である。また、造船や兵器製造などの重工業も盛んに行われている。石油は自治区内でも産出する他、ベリスからもパイプラインを引いている。世界的にSH燃料が普及し、石油が一般的な燃料でなくなってから久しいが、トッカルでは例外的に冬期の暖房器具の燃料として灯油がSH燃料に混合されて利用されている。余談ながら、冬が長く厳しいトッカルでは、各家庭の暖房費が自治区政府より補助される。

自治区首都はモスクワ市。この他に重要な都市として、学芸の都であるサンクトペテルブルク市や、シノニアに対する玄関口となるウラジオストク市、かつての軍港で現在は漁業基地となっているカムチャツカ市、エウロやベリスへの玄関口のひとつであるキエフ市などがある。トッカルの西部と東部はシベリア鉄道やいくつかの幹線自動車道で結ばれている他、北極海航路によって海路でも結ばれている。このため、幹線道沿いや北極海を航海する船が寄港する地には、小規模ながらも宿場町や港町が点在している。

人口約17億人。近年は北エウロから一定数の移民の受け入れを積極的に行っているが、厳しい気候の土地が多いためか、各地からの難民や移民の流入は比較的少ない土地柄である。このため混血があまり進んでおらず、金髪碧眼の北欧系市民が人口の大半を占める。これら人口は西シベリア以西に偏って分布しており、特にモスクワ市やサンクトペテルブルク市近辺に集中している。トッカル全土で見ると基本的に海岸線に沿って街が点在し、幹線道周辺を除けば内陸部(中央シベリア高原など)にはほとんど人が居住していない。

政治体制として大統領制を採用している。大統領の下に国務長官、外務長官、防衛長官が設置され、それぞれ内政、外交、軍事を司っている。640年現在の大統領はニコライ=ラルフ・バート。特筆すべき事として、トッカルの大統領職は伝統的にバート家の事実上の世襲であることが挙げられる。ただしこれはエウロ皇帝のように法制度上不可侵の地位という訳ではなく、一応は任期が存在し、任期ごとに民主的な選挙も行われているのだが、立候補者がバート家以外からは稀にしか出現せず、ほぼ毎回信任投票が行われているため、結果としてバート家の者が大統領職に就くことになるのである。バート家の支持率の高さの理由には諸説有るが、概ね善政を敷いているためであろうという点のみは(少なくともトッカルにおいては)共通認識となっているようだ。こういう経緯があって、バート家はトッカル市民からは「王家」として親しまれている。

議会は一院制で、議員の任期は6年。議会は立法機関であると同時に、大統領令の追認機関でもある。また、大統領や大統領府各長官の弾劾裁判権を持つ。

連邦評議会のことは世界を導くための盟友であると考えており、評議員として必ず一名はバート家の関係者を送り込む習わしとなっている(形式上は大統領が指名し、議会が承認する)。北半球の北辺に位置するトッカルは、南の連邦政府に対応する世界の一方の責任者としての自負を持っているが、他の自治区政府にはそれほど本気で受け取られてはいないようである。外交上シノニアと歩調が合わないことがままあるが、それを考慮してもほぼ全ての自治区と良好な関係にあると言って良い。

かつてはベリスと共同で宇宙開発を行っていたが、諸般の事情でそれらのプロジェクトが打ち切られると、表向きには宇宙開発事業から撤退し、宇宙に対する姿勢も消極的になった。しかしその工業力を活かし、密かに宇宙船開発を行っていると言われている。トッカルの宇宙開発事業の特徴として、他自治区の目標が月面であるのに対し、トッカルでは火星を目標にしていることが挙げられる。

工業が盛んな一方、伝統的な農業や漁業も盛んに行われており、食糧事情は非常に良い。連邦の食料プラントも稼働しているため自治区内に流通する食品の半分程度はプラント生産品だが、それらを賄ってなお余剰品が出るため、それらはシノニアへの輸出(特に漁業生産品の多くはシノニアへの輸出品となる)や、エウロへの援助に向けられている。なお、エウロへの援助はシノニア同様、有償援助である(詳しくはシノニアの項を参照)が、ワインなどの高級酒をエウロから毎年一定額以上輸入しているため、シノニアに比べると対エウロ債権は少ない。なお、トッカル系住民には伝統的にアルコールに強い者が多いと言われている。